ペットとして犬や猫などを飼う家庭は多いと思いますが、最近解決したケースの中に、飼い犬による咬傷事件がありましたのでご紹介したいと思います。
県内のある家庭において、室内で犬を飼っていました。大変元気な飼い犬で、家族にはよく懐いていましたが、来訪者があると勢いよく玄関に飛び出していくため、家族は部屋のドアを閉めて飼い犬が玄関に来れないよう注意していました。
ところが、あるとき集金に来た人が玄関に入ってきたとき、飼い犬が飛び出してその方に飛びかかってしまいました。このため、その方は後ろに転倒して頭を打つと共に、手を噛まれたと言って被害を訴えました。飼い犬は、部屋のドアが閉まっていなかったため玄関に突進して集金に来た人に飛びかかってしまったのです。
民法718条は、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」と定めています。したがって、上記のようなケースでは飼い主の賠償責任は免れないことになります。飼い主は、飼い犬をリードに繋いだり、部屋から出てこれないようにドアを確実に閉めるなどして事故の発生を未然に防ぐ義務があったと言えます。
但し、動物を飼っていれば、どのような場合でも飼い主の責任が免れないのかというと、そういうわけでもありません。飼い主は、その動物の種類及び性質に従い、相当な注意をもって管理したときは、賠償責任を免れることになります。しかし、このような免責されるケースというのは稀でしょうから、飼い主は責任をもってペットを飼育しなければならないということになるでしょう。
前記のケースは、集金に来た人の治療費や休業損害、慰謝料等の支払を合意して示談が成立しましたが、万が一の場合に備えて、ペットが第三者に危害を加えたときに払ってもらえる保険に加入しておくことも必要かもしれません。