父親が亡くなり,遺産を3人のきょうだいで均等に分けようということになりました。しかし,私は父親の後を継いで家を守ってきたのに対し,弟や妹らは家を出るときに財産を貰っていますので,均等に分けるという案には納得できません。何か反論する方法はないでしょうか。
ご回答
まず,寄与分の主張が考えられます。民法は,共同相続人の中で,被相続人の事業に関して労務を提供したり財産を給付し,あるいは被相続人の療養看護を行い,その他の方法によって被相続人の財産の維持または増加につき特別の寄与をした者に,寄与分を認めています。寄与分が認められれば,父親の遺産から,まず寄与分に相当するものを差し引き、その残りを3等分した上で、弟と妹についてはその1ずつが、あなたについてはその1に寄与分を加えたものが,それぞれ相続分となります。ただ,寄与は他の相続人と比較して「特別」なものでなければならず、したがって,あなたが,給与等の支払いを父親より受けていたのであれば、その労務提供の対価は既に支払済みということになりますから,寄与分は認められないこともあります。
もう一つには,特別受益の主張が考えられます。民法は,共同相続人の中に,被相続人から遺贈を受けたり,生前に贈与を受けた者がある場合に,被相続人から特別に利益を受けた者と受けない者との間の不公平を調整するために、特別受益者に持戻義務を認める規定を置いています。したがって、弟や妹に対し、家を出るときに貰った財産の持ち戻しを求めることが考えられますが,特別受益となる贈与は,「婚姻,養子縁組のため若しくは生計の資本」としてのものに限られます。
寄与分や特別受益の主張が可能かについては,弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。