「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」原状回復等請求事件は,帰還困難区域である浪江町津島地区の住民が,国と東京電力に対し,ふるさと津島の除染(原状回復)などを求める闘いです。
平成27年9月の提訴以降,これまでに津島地区の住民合計223世帯669名がこの裁判に参加し,8回にわたる口頭弁論期日が開かれています。
津島地区は,日本テレビの「鉄腕DASH」という番組で放映されていた「DASH村」がある地域だと言えば皆さまもお分かりになるでしょうか。
津島地区は,約8割が山林という,自然に囲まれた地域です。ほとんどの家に井戸があり,夏でも冷たくて甘い水が飲めます。家の裏山で,春になれば山菜が,秋になればキノコが採れます。四季折々の美しい草花は,住民の目を楽しませてきました。畑で採れた野菜は,当然のように近所に配ります。他人の子どもも自分の子どもも,地域ぐるみで育ててきました。何百年と続く旧家があり,何代にもわたって伝統文化である田植え踊りを継承してきました。
このような,豊かな自然や,人と人との濃密なつながり,長年に渡る歴史と文化が息づく社会,それが津島でした。
このふるさとが,原発事故により全域帰還困難区域となり,戻れなくなりました。住民は,一時帰宅するたびに朽ちていく自宅を見せつけられます。仲の良かった住民たちは避難によりバラバラになり,地域の文化を承継していくことも難しくなっています。避難先でいじめにあう子どももいます。
口頭弁論期日では,毎回,原告団の中から2名を選び,この裁判に対する想いを陳述してもらっています。裁判官も,原告の意見陳述には真摯に耳を傾けています。しかし国と東電は,他の原発訴訟と同様に,「原発事故は予見できなかったから,国や東電に責任はない。」という主張を繰り返しています。
群馬県の前橋地裁では国の責任を認める判決が出ていますし,福島市で行われている生業訴訟では今年の10月に判決が出る予定ですが,津島原発訴訟は他の原発訴訟より数年おくれてスタートしているので,結審(判決)までまだまだかかります。
原告団と弁護団は,口頭弁論期日の度に,郡山駅前での街宣活動,裁判所の周辺でのデモ活動も行っています。街で原告団・弁護団の姿を見かけた際には,是非,ご支援いただきますよう宜しくお願い申し上げます。