各種マスコミ報道によると,今年9月末にも臨時国会が召集され,冒頭で衆議院が解散され,10月に総選挙が実施される公算が強まっているとのことです。
この臨時国会ですが,6月下旬に,森友学園や加計学園などの国政私物化疑惑の解明を目的として,野党が憲法53条に基づいて召集を要求していたものです。憲法53条は,いずれかの議院の三分の一以上の議員の要求があった場合には,臨時国会を召集しなければならないとしています。しかし,安倍内閣は,憲法に召集までの期限が定められていないことを口実に,これまで3か月近くも召集を棚上げにし,やっと召集したかと思いきや,何の審議もせずに衆議院を解散しようというのですから,「疑惑隠し解散」と言われてもやむを得ません。
また,国政私物化疑惑で支持率が低下した安倍首相は,野党の選挙態勢が整わないうちに解散し,与党に有利に選挙をたたかおうという意向があるとも伝えられています。大義のない,党利党略解散というべきです。
さらに,自民党は,今年5月に突如安倍首相が発表した「2020年までに自衛隊を合憲とする内容の憲法改正を行う」との方針に基づき,憲法9条改正を選挙公約に盛り込む意向だと伝えられています。しかし,安倍首相の下で自民党が発表した憲法改正草案には,いずれかの議院の三分の一以上の議員から臨時国会の召集要求があった場合には,「20日以内に」召集しなければならないとの条文があります。自ら公表した憲法改正案にも反して国会の召集をサボタージュしてきた安倍内閣に,憲法改正を語る資格があるのか,極めて疑問と言わざるを得ません。
このように,予定されている解散・総選挙は,どの面から見ても大義名分を欠いたものと言わざるを得ませんが,安倍首相の,憲法9条や平和憲法の理念を変えるのだという執念を軽視することはできません。
これまで,紆余曲折はありながら70年守り抜いてきた憲法9条を変えるということになれば,日本の進路を大きく変えていくことにつながり,国のあり方にとって大きな岐路に立っていると言えるでしょう。この大事な時期に,一人一人が憲法について関心を持って考え,語り合い,自分の意思を表明することがなにより必要なことではないでしょうか。投票を通じた意思の表明を,強く呼びかけます。
(2017年9月21日)