最近の相談事例からご紹介します。ご自分が利用しているスマートフォンに,突然宅配業者を名乗ったショートメール(「荷物のお届けにあがりましたが不在のため持ち帰ります。○○(業者名の入ったサイトアドレス)でご確認ください」というもの)が入ったのだが,配達が予定されている荷物等はないので,不審に思いご相談されたということでした。
ご相談を受けて,当該宅配業者の公開情報を調べたところ,当該業者は,不在の連絡等は不在連絡票で行っており,ショートメール(携帯電話の番号を宛先としてメールのやりとりができるサービスで,各携帯電話会社が提供)では行っていないとのことでした。また,当該業者の公開情報では「当社を装った迷惑メールにご注意ください」とされていました。このことから,その相談者の方に送られたショートメールは,宅配業者からのものではなく,何らかの不正の目的をもって発送されたものと推測できることがわかり,指定されたアドレスにはアクセスしないこと,可能であれば消費生活センター等に連絡しておくことなどをアドバイスしました。
ショートメールは,何らかの名簿等で個人の携帯電話番号を入手するなどの方法で,大量かつ無差別に送ることができますので,他人を装ったメールが届くことがあります。また,最近では,LINE等のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でも,同様のケースがあるようです。
こうした不審なメールやSNSメッセージに書かれているアドレスにアクセスすると,ウィルスに感染させられたり,場合によっては,フィッシングサイト(一般企業のサイトを装い,クレジットカードの暗証番号などの個人情報を入力させる詐欺サイト)に誘導されることもあります。
こうした被害を防ぐためには,ア)差出人がよく分からない不審なメールやメッセージは不用意に開かない,イ)開いてしまった場合でも,メールやメッセージ上のリンクには触らない,ウ)スマートフォン用のセキュリティソフトを利用する,エ)個人情報を入力する際には信用できるサイトかどうか確認すること,また暗号通信されるサイトであることを確認すること,などの対策を講じることが必要です。
スマートフォンは大変便利になっていますが,単なる携帯電話ではなく,「通話機能のある小型パソコン」としての実質を持っています。ウィルス感染やハッキングによるデータ流出などの危険が常に伴いますので,ご注意ください。