みなさんのお住まいの地域に,長い間使われていない建物はありませんか?持ち主が亡くなるなどして,引き継ぐ者も誰もいない状態で,何年も放置され,老朽化していく建物は,どのような地域にも少なからず存在しているはずです。近隣住民にとっては,地震などにより倒壊して自分や家族がけがをしたり,自分の家屋などの財産にも被害が及ぶのではないかと心配になることもあると思います。
当事務所で扱った案件に,長い間放置され,廃墟と化していた建物の取壊しを実現した案件があります。依頼者の方は,亡くなった親族から相続によって土地を受け継ぎましたが,その土地上には,何十年も前に営業を終えた会社が使用していた古い建物が建てられていました。使われなくなってから長年経過した建物は廃墟同然の状態で,依頼者としても早期に建物を取り壊して土地を有効活用したいとの思いをお持ちでした。
もっとも,建物の所有者である会社は営業を終えてから既に長年が経過しており,会社の代表者などの関係者との連絡も不可能な状態でした。そこで,まずは,裁判所において,代表者がいないその会社を代理して裁判等の事務を行う代理人を選任する手続きをとり,その代理人を相手として建物の取壊しを求める裁判を起こしました。
裁判の結果,建物の取り壊しを命じる判決が下されましたが,会社には,建物の取壊し費用を支払うだけの財産が残っていませんでしたので,裁判所において,「強制執行」の手続きをとり,自ら取壊しを手配することのできない会社に代わって,建物の取壊しを強制的に行う手続きをとりました。
結果として,時間は掛かりましたが,無事に建物の取壊しは終わり,依頼者にとっても近隣住民にとっても,長年の「目の上のタンコブ」であった廃墟は姿を消しました。
長年使われていない建物について,建物やその敷地の権利関係によっては,この事例のように撤去を実現できる場合もあります。空き家についての悩み事があれば,ぜひ弁護士に相談ください。