同居の父が,持病の悪化で介護が必要な状態になりました。家族は仕事があり,十分な介護ができません。行政の介護サービスを利用したいと思っていますが,どのようなサービスがありますか?また,どこに相談したらよいでしょうか?
行政による介護サービスは,大きく分けて,①介護保険法に基づく介護サービスと,②障害者総合支援法に基づく介護サービスの2種類があります。それぞれ,介護を必要とする方の年齢や障害の程度などによって,サービスを受けることができるか,また,受けられるサービスの種類や限度などが変わってきますが,両方に該当する場合には,原則として介護保険法に基づく介護サービスが優先されることになります。それぞれについて,簡単にご説明します。
まず,①介護保険法に基づく介護サービスは,ア)満65歳以上の高齢者で,介護や支援を必要とする人,またはイ)満40歳以上65歳未満の方で,加齢に伴う疾病(末期ガン・認知症・脳梗塞・骨粗しょう症・関節リウマチなど指定されたもの)により,介護や支援を必要とする人が利用できます。介護・支援が必要か,またどの程度の介護・支援が必要か(要支援・要介護度)については,市町村が判定します。介護保険についての相談は,各市町村の介護保険課などでも受け付けていますが,介護サービスの利用については,各地域にある「地域包括支援センター(愛称:高齢者あんしんセンター)」(地域の医療機関や福祉施設に併設されている場合があります)に相談するのがよいでしょう。保健師・社会福祉士・ケアマネージャーなどが相談を受け付けて,必要に応じて医師の診断などを受けてもらい,要支援・要介護度の判定を行った上で,判定区分に応じた範囲内での介護サービスのプラン(ケアプラン)を作成し,市町村に対する利用申請も援助してくれます。
次に,②障害者総合支援法に基づく介護サービスについては,介護保険法のような年齢による区別はありませんが,障害の種類や程度によって障害支援区分が定められ,この区分に基づいて,ア)自立支援給付(介護サービスや生活訓練など)や,イ)地域生活支援(専門相談や移動支援など)など,利用できるサービスの内容などが決まります。障害者総合支援法に基づく介護サービスの利用については,お住まいの市町村の障がい福祉課などで相談を受け付けています。
また,介護サービスとは直接関係ありませんが,障害によって生活や仕事に支障がある方は,障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)の支給を受けることができる場合があります。障害年金については,市町村の年金窓口やお近くの年金事務所などで相談を受け付けています。
障害者の介護や福祉については,制度が複雑で,相談窓口もそれぞれ異なるため,ご本人はもちろん,ご家族としても大変でしょうが,まずは相談することがサービスを受ける第一歩です。つらい思いをしているご本人のために,一歩を踏み出してみてください。