「最近、母に認知症の症状が見られるようになりました。タンスの中に、いままで見たこともない呉服や宝石類がありました。母に聞くと、セールスマンに勧められて買ったといいます。」
ご回答
お年寄りを狙った悪徳商法の被害は後を絶ちません。こうした場合、いままでに購入したり契約してしまったものについては、クーリングオフ制度の利用や、消費者契約法に基づく契約の取消しによって対処できる場合もあります。また、一方的に取消しなどができない場合でも、業者と交渉して、商品を返品し、代金の一部を返してもらうなどの解決策が考えられます。
しかし、認知症などで判断能力が衰えている場合、今後も被害にあう危険があります。そのため、成年後見などの制度を利用することを考えるとよいでしょう。症状や判断能力の衰えの程度が重い場合、成年後見の開始を家庭裁判所に申立てます。裁判所で症状などを判断し、開始決定がされると、身内や第三者から後見人が選ばれ、選ばれた後見人が、本人に代わって、各種の契約を代理したり、本人の資産を管理するなどの事務を行うことになります。後見人の同意がないのに、本人が契約をしても、後見人が契約を取り消すことができます。
また、判断能力が後見開始に至るほど衰えていなくても、保佐・補助の申立をすることができます。保佐人や補助人には、本人を代理する権限は当然にはありませんが、一定額以上の契約について、取り消す権限を家庭裁判所に与えてもらうことができます。