最近のニュースをみていると、子どもの虐待や夫婦間暴力などの痛ましい事件が多いような気がします。DVという言葉もよく聞くようになりましたが、妻が夫から暴力を受けたような場合がDVになるということでいいのでしょうか。そのほかにもDVになるようなことがあれば、教えてください。
DVとは「Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス)」の頭文字をとったもので、日本語訳すると「家庭内暴力」ということになります。夫が妻を暴行するというものは典型的なDVということができますが、このほかにも様々な形でDVとされるものがあります。
殴る蹴るといった行為は当然暴力に該当しますが、そのような直接的な暴力に限らず物を投げるなどといった間接的な行為も(仮に物が相手に当たらなかったとしても)暴力に該当することがあります。さらには身体的な暴力だけでなく精神的に追い込むような暴言や長期間の無視などもDVに当たることがあります。このほかにも性生活を強要すること、避妊をしない、中絶を強制することなども性的暴力としてDVに該当することもあります。また、生活費を渡さないなど経済的に追い込むこともDVに当たる可能性があります。実際にはこれらのDVが複数絡み合って被害者を追い込んでいくことが多いようです。
DVというと、夫が妻に行うものというイメージがあるかと思いますが、必ずしもそれに限られません。妻から夫へのDVも含まれるのです。また、配偶者間のDVに限らず、家庭内暴力という意味では親子間などの暴力も大きな問題です。特に子どもに関する暴力については、近時は「虐待」として大きく取り上げられるようになりました。子どもに直接暴力をふるうことは論外ですが、子どもの見ている前で夫婦間暴力を行うことは、面前DVとして子どもに対する虐待とされることになるのです。
DVは連鎖すると言われています。DVを受けて育った子どもは、自分が家庭をもったときにその家庭内でDVを行うといったことが珍しくありません。このような負の連鎖を断ち切るためにも、DVはどんな理由があっても許されないのだということを今一度心に留める必要があります。