令和元年６月１４日から、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律（いわゆる「チケット不正転売禁止法」）が施行されました。この法律は、人気のあるチケットを特定の業者や個人が買い占め、高額で転売することによって本当にチケットを購入したいと考えている人たちに適正な価格でチケットが届かなくなってしまうことを防ぐために作られました。これまでも会場周辺でチケットを転売する「ダフ屋行為」は条例などで禁止されていました。しかし、最近ではチケット転売が会場周辺ではなくインターネットなどで行われるようになり、条例では防ぐことができない事態となっていたのです。
　今回のチケット不正転売禁止法で禁止される行為は、①チケットを不正転売することと、②チケットの不正転売を目的としてチケットを譲り受けることです。
ここでいうチケットとは、国内で行われる映画、音楽、舞踊などの芸術・芸能やスポーツイベントなどのチケットのうち、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明示された座席指定等がされたチケットをいいます。招待券などの無料で配布されたチケット、転売を禁止する旨の記載がないチケット、販売時に購入者または入場資格者の確認が行われていないチケット、日時の指定のないチケットなどは、チケット不正転売禁止法の対象外となります。
そして、チケット不正転売禁止法で禁止される「不正転売」とは、「興行主に事前の同意を得ずに反復継続の意思をもって行う有償譲渡であって、興行主等の販売価格を超える価格でチケットを転売すること」を意味します。したがって、個人間の売買であってもライブに行くつもりもないのに必要以上に大量にチケットを購入し、それを定価以上の価格で売買するような行為は「不正転売」に該当することになります。
　今回のご質問では、自身でライブに行くために必要な枚数を購入されるようですので、法律違反にはならないと思われます。しかし、入手したチケットが当日利用できない恐れもあり、チケット購入サイトの利用は慎重にされた方がよいでしょう。近時は興行主の方でリセールサイト（興行主側で売れ残ったりキャンセルになったチケットを定価で販売するもの）を開設していることもあります。まずはそちらの利用を考えられた方がよいのではないでしょうか。