これまで,離婚後の子どもの養育費や,婚姻中の夫婦が分担する婚姻費用(生活費)については,2003年に公表された「簡易迅速な養育費等の算定を目指して-養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案」という研究結果をもとにした算定基準を用いて算定するのが裁判所の原則的な運用となっていました。
この算定基準については,「生活の実態に合っていない」,「現在の社会情勢が反映されていない」等の批判がありました。2016年には,日本弁護士連合会が最新の統計資料等を反映して作成した養育費等の算定方式を発表しましたが,この新たな算定方式が裁判所で用いられることはあまりありませんでした。
そのような状況の中,昨年12月23日,最高裁判所から,平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の結果を踏まえた養育費・婚姻費用の新たな算定表が発表されました。この算定表は,消費税増税,社会保険料率の変化等の社会情勢を反映し,平均的な子の生活費・学費等に関する最新の統計資料を基にして作成されたものであり,これに基づいて養育費を計算すると,これまで裁判所が用いていた算定表と比較して月の養育費が若干の増額となるケースが多くなる見込みです。
裁判所等におけるこの新たな算定表の運用については,今後の状況を注視する必要がありますが,今後,養育費等を算出するに当たっては,裁判所はこの算定表を用いることとなるでしょう。新しい算定表は,裁判所のホームページで公開されています。
養育費や婚姻費用に関するお悩みがある場合には,ぜひ当事務所にご相談ください。