令和2年6月10日に公布された道路交通法の一部を改正する法律により、妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則が創設されました。これにより、他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキや車間距離不保持等の違反を行うことは、厳正な取締りの対象となり、最大で懲役3年の刑に処せられることとなりました。また、妨害運転により著しい交通の危険を生じさせた場合は、最大で懲役5年の刑に処せられることとなりました。さらに、妨害運転をした者は運転免許を取り消されることとなりました。
また、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律も改正され、危険運転致死傷罪の対象となる行為が追加されました(令和2年6月12日公布、令和2年7月2日施行)。妨害運転のような悪質・危険な行為により人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪(妨害目的運転)等にも当たる場合があり、さらに厳罰に処せられることがあります。
あおり運転(妨害運転)はこれまで明確に取り締まり対象として定められておらず、車間距離保持義務違反や安全運転義務違反などで取り締まっていました。しかし、これらの義務違反では罰則が軽く、抑止効果につながらないとの批判がありました。危険運転致死傷罪についても、あおり運転のような行為が対象となるのかは明確ではなく、東名高速夫婦死亡事故の裁判の経過では加害者が被害者車両の前に割り込んで停止させることについては危険運転致死傷罪には問えないのではないかとの見解も出されていたところでした。このような論争に終止符を打つべく、今回の改正において妨害運転も危険運転致死傷罪に該当することが明文で規定されたのです。
妨害運転についてはドライブレコーダーが有力な証拠となります。自らの身を守るため、妨害運転の根絶のためにもドライブレコーダーなどを設置し、安全な運転を心がけましょう。