2020(令和2)年7月30日午前9時ころ,郡山市島二丁目の飲食店(温野菜郡山新さくら通り店)で大規模な爆発事故があり,約20名の方が死傷され,周辺の広い範囲で建物の損壊などの被害が生じました。被害にあわれた方に,心よりお見舞いを申し上げます。
事故の詳しい原因はまだ判明しておらず,被害の賠償責任を誰が負うのかなどについては,警察や消防による事故原因の解明を待たなければなりませんが,現時点での報道内容などを踏まえ,被害者の方が知っておいた方がよいことについて取り急ぎお知らせしますので,ご参考になさってください。
また,当事務所でも今回の爆発事故の賠償問題等についてのご相談を承ります。初回のご相談については無料ですので,お気軽にご利用ください(電話もしくはメールフォームにてご予約ください。また,2回目以降の相談については相談料が必要となりますので,予めご了承ください)。
Q1 爆発事故の被害にあいました。どのような被害が賠償の対象となりますか?
A1 次のようなものが考えられます。
(1) けがをされた場合
治療費,通院のための交通費,休業損害,慰謝料など。さらに後遺症が残ってしまった場合には,後遺症の程度によって逸失利益や慰謝料など。
(2) 建物に被害が生じた場合
修理費用(もはや修理が不可能な場合には,建物の時価相当額),営業用建物(店舗など)で,修理完了まで営業ができないなどの場合には営業損害など。
Q2 いまの時点で何か準備しておくことはありますか?
A2 後日の賠償請求や保険金請求などに備えて,被害そのものや損害額についての資料を残しておくことをおすすめします。
(1) けがをされた場合
医師の診断書,治療費の請求書・領収書など。
なお,現時点では賠償責任を誰が負うかはっきりしないため,治療費についてはご自分の加入している健康保険を利用することがあると思いますが,その際は,健康保険組合等に「第三者加害に関する傷病届」などの書類を提出する必要がありますので,ご注意ください。
(2) 建物の被害や営業損害について
建物の損壊状況の写真(撮影角度や距離(ズームなど)を変えて何枚か撮影するとよい),修理業者の費用見積書や領収書,建物の固定資産評価額証明書,過去の営業実績資料(確定申告書や会計資料)など。
Q3 誰に対して補償(賠償)を求めることができるのでしょうか?
A3 今回の爆発事故について誰が損害賠償義務を負うかは,事故原因の解明を待たなければはっきりしません。報道によれば飲食店の改装工事中にガス爆発が起きたということのようですので,改装工事業者の過失により爆発事故が起きたと判断されれば,工事業者が賠償義務を負うことになりますし,飲食店の管理責任者(店舗運営会社,フランチャイズ統括会社等)に店舗管理についての過失が認められ賠償義務を負うこともあり得ます。ガス配管からのガス漏れによって爆発が起きた場合には,ガス供給業者等に賠償責任が認められる場合もあり得ます。いずれにせよ,今後の警察や消防による事故原因の解明を見守る必要があります。
なお,爆発事故があった飲食店のフランチャイズ本部会社の親会社(株式会社コロワイド)は,爆発事故の補償についての電話相談窓口を設けるとしています。この窓口で,今後の見通しに関する情報が得られる可能性があると思います。
Q4 火災の被害は,火元に過失があっても賠償されない場合があると聞いたことがありますが,今回の爆発事故についてはどうですか?
A4 火災の被害については,失火責任法という法律があり,「失火」の場合には,賠償責任が免除されるとされています。しかし,同法に定める「失火」は,火力(燃焼作用)によって物が損傷した場合をいうと解釈されています。今回の爆発事故による被害は,報道などを見る限り,爆風やがれきの飛散などによるものと思われますので,失火責任法が適用される可能性は低いでしょう。
Q5 自分が加入している保険で補償が受けられますか?
A5 例えば,爆風によって被害を受けた建物を対象とする火災保険に加入されている場合,火災保険金を受け取ることができる場合があります。また,けがについても,ご自分で生命保険,医療保険,傷害保険に加入されている場合,保険金の支払対象となる場合があります(ご自分で加入された覚えがなくても,お持ちのクレジットカードに医療保険が付帯されている場合もあります)。支払の可否や保険金の額は,保険契約(約款)の内容等によって異なりますので,保険会社に問い合わせしてみるとよいでしょう。
また,仕事中や通勤中に爆発事故でけがをされた場合,労働災害(通勤災害)として,労災保険から保険金を受け取ることができます。詳しくは勤務先や労働基準監督署にお問い合わせください。