自宅建物の新築工事を契約し、約束した完成引渡の日を数ヶ月過ぎても建物が完成せず、再三求めても請負業者が完成させないときは?
「昨年の6月に、自宅建物の新築工事契約を締結したが、完成時期である12月になっても完成させず、年が明けた7月になった今でも完成していないので入居も出来ず困り果てています。どうしたらいいでしょうか。」という相談を受けました。
自宅の建物を新築するというのはその人にとっては人生のうちに何度もあるようことではない一大事業ですね。その建物が完成しなくて引き渡しも受けられないというのは引っ越しできないということですし、今回は、とりわけそれまでの住まいが公共事業のために立ち退き期限が定められていたケースでした。このため完成引渡が遅れたことによって新たにアパートを借りなければならなくなったということですから余計な出費が嵩んで大変だったと思いますし、工事業者との信頼関係もなくなっているようですね。
このように、契約当事者間で完成引渡の期限が特定されているにもかかわらず、請負業者の事情で完成引渡が遅れた場合は、新築工事契約を解除して別な工事業者に依頼するということが考えられます。
但し、契約解除と言っても請負契約の場合は、工事内容が可分であれば全部を解除するということは出来ず、未施工の部分だけを一部解除するということになります(最高裁判所の昭和56年12月23日判決)。
一部解除した場合の工事代金の支払については、施工済みの部分に応じた工事代金の精算をするということになります。その他に、工事が遅れたこと、すなわち契約の履行遅滞があることによって施主に損害が発生した場合にはその損害を工事業者に請求することになります。今回のケースでは、新たにアパートを借りなくてはならなかったということですのでその費用などが損害となりますですが、詳しいことは弁護士に相談された方がよろしいかと思います。