2018年6月1日に、中途採用ということである会社に入社しました。その際に雇用契約書を作成しましたが、雇用期間については定めがなく定年は60歳と書かれていました。しかし、入社して1年が経過しましたが、他の会社の雇用環境が良いことや今の仕事に対する意欲もわかないため退職しようと思います。どのような点に気をつければよいですか。
雇用契約に期間の定めがないのであれば、いつでも退職できます。民法第627条1項は「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と定めています。
労働者は、この規定によって理由の如何を問わず退職することができます(なお、この民法の規定は、「各当事者は」という規定になっており、雇い主においてもいつでも解約の申し入れ(解雇)ができることになっていますが、労働者保護のために労働基準法や労働契約法などによって、雇い主は自由に解雇できることはできません)。設問の場合は、労働者は解約の申し入れ(退職届の提出)をしてから2週間が経過すれば退職することができます。
なお、設問の場合は、期間の定めのない雇用契約でしたが、もしこれが雇用期間の定めのある雇用契約、例えば雇用期間を2年と定めていた場合に、期間を満了する前に退職する場合はどうしたらよいでしょうか。
雇用期間の定めがあると、どうしてもその期間は働かなければならないと考えがちですが、これについては、民法628条に「…やむを得ない事由があるときは、…直ちに契約の解除をすることができる」との規定があります。この規定によって労働者は退職することができます。但し、やむを得ない事由が労働者の過失によって生じた場合には、雇い主に賠償する責任が残ります。
他方、労働基準法附則137条は、有期雇用契約の場合であっても、原則として雇用契約の初日から1年を経過した日以後は理由の如何を問わずいつでも退職することができると定められています。詳しいことは労基署や弁護士等にご相談ください。