事案の内容
Aさんは、知人のBさんが銀行からお金を借りる際に保証人になってほしいと頼まれました。BさんはAさんの知人であったことや、Bさんが「Aさんには迷惑かけないから」という言葉を信じ、保証人になることにしました。Aさんが契約書に署名するときには「連帯保証人」と記載されていましたが、Bさ
が払っていくのだか心配はないだろうと考え、そのまま署名押印しました。
ところが、最近になって銀行からBさんの債務を支払うように請求を受けるようになりました。Bさんに事情を聴こうと思いましたが、Bさんと連絡がつきません。Aさんは銀行からの請求に応じなければならないのでしょうか。
事案について
今回のような連帯保証に関する相談は多いと感じます。連帯保証人としては、自分は主債務者の「予備」という立場だからよほどのことがない限り自分に請求が来ることはないだろうと考えていることが多いようです。しかし、これからご説明するように連帯保証とは「自ら借りたのと同じくらい」責任が重いものです。
連帯保証とは、保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担することを約束した保証をいいます。通常の保証人に比べて保証人の責任が重くなっていますが、連帯保証は広く利用されています。
この連帯保証は、大きな特徴として催告・検索の抗弁権がないとされていることがあげられます。どういうことかというと、今回のAさんのように保証人としては「まず債務者であるBに請求してほしい」(催告の抗弁権)あるいは「まずはBさんの財産から執行してほしい」(検索の抗弁権)と考えることと思います。ところが、連帯保証の場合にはこれらの催告の抗弁権及び検索の抗弁権が認められていないのです。すなわち、債権者から請求された場合には「Bさんから取り立ててくれ」ということはできず、請求に応じなければならないということになります。連帯債務者になるということは、主たる債務者とほぼ同等の責任を負うことになってしまうのです。
連帯保証人になるということは、自らお金を借りることと同じと考えて差し支えないと思います。そのような覚悟をせずに「大丈夫だろう」と安易に連帯保証人になってしまうと、後日思いもかけない請求に驚くことになりかねません。自らが連帯保証人になる場合に注意することはもちろん、他人に連帯保証を依頼する場合にも重い責任を負わせてしまうことになることを十分説明しておく必要があります。