北海道で生活していた母が、今年の8月に亡くなりました。母がそれまで生活していた住まいは、敷地が借地で建物は母の所有でした。母の相続人は、私も含めて3人の子どもたちですが、いずれも離れて生活しており、母の遺した建物を積極的に相続したいと希望する者はいません。この場合、建物を解体して土地を地主に返さなければならないでしょうか。
全国的に見ますと、相続による手続がなされないまま空き家になっている家屋が増加していることが社会問題になってきていますが、このご相談も対応を放置されますと問題が生ずるかも知れませんね。
相続人の方々が誰も必要がないということであれば、一旦相続して借地を返還するということも出来ないわけではありません。その場合には、建物を解体する必要が出てくる可能性があります。
しかし、建物所有を目的とした借地権は資産価値があり相続の対象にもなりますので、3人の相続人が共同で相続して第三者に売却して代金を配分するということも出来ます。したがって、無条件で建物を解体して借地を返還するということはあまり得策ではありません。場合によっては、土地の所有者が希望すれば建物を買い取ってもらうことも可能です。
ただ、建物の状態があまり良くなく、リフォームするのに多額の費用がかかるようであれば、その建物を相続しても譲り受け先が見つからないとかになり、建物の維持等で経済的にも負担が重くなる場合も考えられます。このような場合には、相続放棄をすることも考えられます。
相続放棄は、お母さんが亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に手続をすることが必要ですが、詳しいことは家庭裁判所や弁護士にご相談下さい。