2012年4月から現在まで、私立高校の専任講師として授業や学級担任などをしてきました。雇用契約は、毎年4月に1年ごとの契約を締結しており、今年で9年目になります。ところが、今年10月に、副校長から、私の雇用期間が年度末で終了になることをそれとなくほのめかされました。
私としては、もう少し長く教鞭をとりたいと思っていたのですが、1年ごとの契約期間で雇用されているので、来年3月末で退職しなければならないのでしょうか。
有期雇用契約の場合、原則として雇用期間が満了すれば雇用契約は終了します。しかし、使用者は有期雇用契約の形を取りつつこの契約を更新しながら長期にわたって労働者を雇用することがあります。
このような場合、契約更新を繰り返しながら長期間雇用が継続されると、労働者の側でも雇用の継続を期待するようになりますし、実質的には雇用期間の定めがない契約と同視できるようになります。このような場合、過去の裁判例では雇用期間が終了したという理由で雇い止めすることは解雇と同じだとして、相当と認められる特段の合理的な理由がなければ解雇権の濫用だとして雇い止めを許さないとしていました。
その後、法律が改正されて、このような裁判例の趣旨を踏まえて、「同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申し込みをしたときは、使用者は当該申し込みを承諾したものとみなす。」とされました(労働契約法第18条第1項)。
したがって、上記のご相談については、勤務先の学校法人に対して、来年4月以降の雇用契約を無期、すなわち雇用期間の定めのない労働契約に転換するよう求めることができます。なお、通算契約期間のカウントは、2013年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象とされています。それ以前に開始した有期労働契約は通算契約期間含まれませんが、上記の相談内容では、2013年4月に1回目の更新をしておりますので、そこからカウントしても5年以上経過していますので無期契約に転換請求することができます。