去る2月21日、ロシアのプーチン大統領(以下、「プーチン」と言います)は、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」に関して独立国家として承認するとともに、同月24日にはロシア軍をウクライナに侵攻させて武力行使を始めました。
侵攻の理由については、プーチンは、ウクライナによるロシア系住民に対する大量虐殺だとか「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」との集団的自衛権の行使だとかNATOの「東方拡大」が自国の安全を脅かしているなどと説明していますが、国際世論の圧倒的多数はプーチンのこのような言い分に否定的です。
そもそもロシアは国連の安保理の常任理事国として、国連憲章を遵守すべき立場にありますが、その国連憲章の定める行動の原則の中には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」という規定があります。ロシア軍のウクライナ侵攻は、明らかにこの国連憲章に反するものであり、ウクライナの主権や領土保全、政治的独立に対する侵略行為に該当すると言わざるを得ません。
ロシア軍の侵攻によりウクライナでは多くの民間人に死傷者が出ています。当初、軍事施設を標的にしていると言っていましたが、現実には住宅や学校、病院など軍事施設と全く関係のないところまで被害が拡大しています。そして、何より福島第一原子力発電所の事故を経験した福島県民にとって見過ごせないのは、ロシア軍がウクライナ国内に設置されている原子力発電所に対しても武力行使をしていることです。仮に原子力発電所が被災して放射性物質が大量拡散することになれば、取り返しのつかない事態になりかねません。
このような大国の力による現状変更を容認することは、国際社会の平和にとっても、日本の平和にとっても脅威であり、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会」(日本国憲法前文)の一員として、プーチンに対し、ロシア軍のウクライナからの即時撤退を求めたいと思います。そして、ウクライナの人々が安全で平穏な時間を取り戻すことを切に願わざるを得ません。