近年、自宅駐車場に駐車していた高級車の盗難がニュースで取り上げられることがある。最近の新しい手口としてCANインベーダーという手口で、車のコンピュータネットワークに侵入してドアの開閉やエンジンの始動もコントロールして車両を盗み出すらしい。被害に遭ったお宅では、防犯カメラを設置して盗難防止に努めていたけれども、盗難状況が記録されているだけで、確実に盗難防止をするということにはならなかったケースが結構あるようだ。
また、防犯カメラを設置する目的として、近隣関係のトラブルに備えるために設置するというケースもある。自宅敷地に侵入していたずらをしたり、ゴミを放置したりするケースに備えて証拠化するために防犯カメラを設置したりするケースである。
もちろん、自分の自宅などが犯罪の被害に遭わないよう、あるいは被害にあった場合に備えて証拠を確保するために防犯カメラを設置すること自体にそれほど問題があるわけではない。
しかし、防犯カメラの設置方法等によっては問題をはらむ場合があることも事実である。例えば、様々な理由で緊張関係になってしまった近隣者間で、ある人が相手方に対する監視目的でその人の駐輪場や玄関付近と私道部分を継続的に撮影する行為は、相手方のプライバシーを侵害するものであるという判決が存在する。
私道は不特定多数の者が通行する空間であるからプライバシーの権利は成立しないと思われがちであるが、判決では、「道路は、公道であれ、私道であれ、一般の人目に触れる空間であるから、一般的には、居宅や敷地内などのように、プライバシーの保護の要請が高い空間であるとは言えないが、原告宅の延長空間として原告らの日常生活に密着した空間である」場合には、単に道路であることをもって、プライバシーを保護しなくてもよい場所であるとするのは相当ではないと判断した。
防犯カメラを設置するときは、近隣のプライバシーにも配慮してカメラの向きや撮影範囲などに気を配る必要がありそうである。