未成年が犯罪を起こしてしまった場合、大人とは異なる手続であると聞きました。立ち直りに重点を置いた対応がされるようですが、弁護士が少年事件にかかわる場合にはどのようなことをするのでしょうか。
成人であれば弁護人ですが、少年事件の場合には付添人とよばれる形で弁護士は様々な支援を行います。付添人活動は多岐にわたりますが、基本的には少年の処分を決める場である「審判」に向けて支援することが中心となります。審判では、少年が犯した罪の内容はもちろんですが、少年が再び事件を起こす可能性がないかどうかという立ち直りに重点を置いた判断がなされます。成人であれば犯した罪の重さによって罪が決まりますが、少年の場合には犯した罪の重さだけでなく、立ち直りに向けた環境が整っているかが大事になるのです。極端なことをいえば、罪は軽くても立ち直りに向けた環境が整備されていなければ少年院に送致される可能性もあるのです。付添人の活動は、この環境整備をすることがメインになってきます。
具体的には、家庭環境や家族関係の問題の調整、少年自身が医療的な問題をかかえていれば治療関係、交友関係の改善、学校などに在籍できるように調整、社会人であれば職場の確保などが考えられます。場合によっては学校や職場にかけあったり、医療機関や福祉機関と相談を重ねるなども考えられます。もちろん、成人と同様に被害者がいる場合には被害弁償などの対応もすることになります。
少年本人に対しては、面会を重ねながら内省を促し、立ち直りに向けた課題を一緒に考えていくことになります。少年が事件を起こすまでには様々な背景があると考えられますので、そのような背景に迫るためには付添人と少年が信頼関係を築く必要があります。少年事件の場合には、時間が限られている(警察段階で弁護士が選任されてから1か月強で審判になるのが一般的です)ことから、信頼関係を築くことは弁護士にとって難しい問題です。少年の家族とともに少年の問題を考え、裁判所の力も借りながら少年の再犯防止に向けた努力をしていくことになります。