2020年(令和2年)7月30日午前9時前、郡山市島二丁目にあった飲食店においてガス爆発事故が発生し、死者1名、重軽傷者19名の被害者が発生したほか、周辺の建物約300棟で建物の損壊やガラスが割れるなどの大きな被害が出た。
事故発生時、筆者は自動車を運転して信号待ちで停車していたところ、空気の振動で自動車の揺れを感じると同時に、爆発事故の現場方向には白っぽい煙がポッと上がるような景色を認知した。もちろん、その瞬間はガス爆発事故があったとは思いもよらなかったが、事務所に到着してしばらくしてから爆発事故があったことを知るに至った。
ところで、上記爆発事故現場から南側の遠くない位置に郡山医療生活協同組合が設置した桑野協立病院があり、同病院でも午前の診療が始まる時間帯であったが、爆発事故により病院施設の北側部分は大きく損傷を受けた。このため、当日の外来診療をキャンセルし、爆発事故で損傷した入院病棟から患者を移動させるなど緊急措置を執らざるを得なくなり、一時的に病院機能が麻痺した。
この爆発事故の原因については、爆発した飲食店店舗の厨房シンク下、コンクリート上に直接設置されていた腐食した配管からガスが漏れて、何らかの着火源によって爆発したことが推定された。当然ながら、この爆発事故の刑事責任が追及されて真相が明らかにすることが期待されたが、令和5年3月、業務上過失致死傷容疑で書類送検されていた関係者は全員が不起訴となってしまった(現在、この不起訴処分については検察審査会で審査中である)。
本件のガス爆発事故から3年が経過しようとする中で、令和5年7月、郡山医療生活協同組合は爆発事故の原因解明と民事上の責任を追及するため、爆発事故に関係する6者を被告として損害賠償請求の訴訟を提起した。すでに、郡山市が6者に損害賠償請求の訴訟を提起して争われているが、その他にも損害保険会社なども訴えを提起しているようであり、今後、本件のガス爆発事故の責任が明らかにされていくことが期待されている。