事案の概要
ある日、Instagramに、何者かによって、A社様を名指しして「了解なく不適切な商品を案内してくる」「この会社を使うのは控えてください」といった内容の投稿がされていることが判明しました。この投稿には、従業員の実名とともに「とても不親切」「無視されます」といった内容も含まれていました。この投稿内容はA社様にとって事実無根であると考えられましたが、このような内容の投稿がSNS上で万人の目に触れる状態になっていること自体が同社の信用に直結するものであるとともに、実名をインターネットに晒された従業員の方の不安も大変なものでした。
従業員の方は、自身が持っているInstagramのアカウントから当該投稿が投稿ガイドラインに違反しているという報告を行いましたが、違反行為は認められないという応答が返ってきてしまいました。
事案の解決
SNS上の投稿の削除請求の手続としては、SNSの運営元に対する①フォームからの請求または②侵害情報の通知書兼投信防止措置依頼書(いわゆるテレサ書式)を用いた削除依頼、裁判所における③仮処分または④訴訟といった手続きがあります。
今回は、当該投稿によりA社の営業権侵害及び従業員のプライバシー侵害が日々継続していることから、裁判所における手続である③及び④を見据える一方で①及び②を並行し、早期解決を目指すことにしました。
営業権を理由とする削除請求は裁判所では認められていないこと、及び、Instagramの運営元(この場合はMeta Platforms Technologies Japan合同会社、以下Meta社)は投稿内容の当否には原則として立ち入らないと考えられること、を踏まえ、削除請求の理由は、当該投稿がA社のウェブサイトに掲載されている写真を無断で引用していること、及び、引用の明示がないこと等、形式的な知的財産権の侵害を中心に主張しました。
何回かMeta社とメールをやり取りし対応したところ、まもなく、Meta社から当該投稿を知的財産権侵害を理由に削除をするとのメールが届き、問題の投稿は削除されました。
初回ご相談から1週間余りの解決となりました。