前夫と離婚した女性が、時間をおかずに再婚し、子どもを出産した場合、父がどちらと推定されるのかについて法改正が行われました。
これまでは「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」という規定がありました。前夫と離婚する場合には、離婚成立前から関係性が悪化していることが多く、離婚成立の300日前に生まれた子が前の夫の子と推定されることには疑問もありました。特に、DV被害などを受けている場合には、離婚成立までに時間がかかり、その間に新しいパートナーがみつかり子どもを授かったような場合には、ようやく離婚が成立しても、そこから300日以内に出生届を出すと前夫の子どもと推定されることになってしまいます。そこで、このような境遇にある方々のなかには出生届を出さないまま子どもを育てる方が出てきました。しかし、生まれた子どもは出生届を出されていないので無戸籍となり、各種社会的サービスを受けられずに困難に直面することになってしまいます。「離婚後300日問題、無戸籍問題」などと言われるものです。
このような問題に対応するため、今年の4月からは新しい法律が施行され、「女が子を懐胎した時からこの出生の時までの間に二以上の婚姻をしていたときは、その子は、その出生の直近の婚姻における夫の子と推定する」という規定が新設されました。これにより、さきほどのDV被害のように、前夫から避難して離婚手続とっている間に新しいパートナーとの間で妊娠が分かったときには、子どもを出産するまでに前夫との離婚及び新しいパートナーとの婚姻届を提出すれば、生まれてきた子どもは新しいパートナーが父親として推定されることになりました(ただし、あくまで子どもが生まれた時に新しいパートナーとの間で婚姻届を出していなければなりません)。
なお、これまでは女性は離婚後100日間は再婚することができないという規定がありましたが、今回の改正で削除されています。したがって、前の夫と離婚してすぐに新しいパートナーとの間で婚姻届を提出することができるようになっています。