離婚後の子どもの親権について、法律の改正がありました。これまでは子どものいる夫婦が離婚となった場合には、子どもの親権者をどちらにするのかを離婚時に決める必要がありました。子どもが複数いる場合に、長男は父に、長女は母にというようにそれぞれ異なる親権者とすることは可能でしたが、一人の子どもについて親権者は父母のどちらか1人のみとされていました。この規定が2026年までに見直され、離婚後も父母の両方が親権者となることができるようになったのです。
婚姻生活が継続している間は、子どもの親権者は当然のことながら両親であり、たまたま両親が離婚に至ってしまったとしても、子どもたちと両親の間の親子関係がなくなるわけではありません。その意味で、離婚後も親子関係(特に別居親との間の親子関係)を密にするために、父母の両方が親権者となることに道を開いたことは、一定の評価ができると思います。
一方で様々な問題も指摘されています。離婚時に共同親権にするのか単独親権にするのかは両親が協議して決めることになるのですが、この協議が整わなければ最終的には裁判所が決定することになります。そうすると、共同親権を望まなかった親(通常は子どもと同居することになる親になると思われます)がいても、場合によっては裁判所に共同親権を定められてしまい、相手方と共同して親権を行使しなければならない事態にもなりかねません。子どものことを決めるのに、養育している自分だけでは決められず、離婚時に大きく争った元配偶者の協力が必要となってしまうのです。
今後は、どのような場合に両親の意思にかかわらず共同親権とするのか等についての裁判所の運用が問題となります。2026年までに施行されることとなっておりますので、今後の推移を見守っていく必要があります。