
父親が亡くなり、相続人は、母と私たち兄弟3人です。当初、相続人間で話し合い、法定相続分で遺産を分けることになったのですが、長男は一度決めたことを反故にして、金融機関などに私たちの悪口を言いふらして手続が進まないように妨害しています。話し合いをしようとこちらから連絡をしても音信不通になっています。これから相続手続を進めるためにはどうしたらいいのでしょうか。
ご相談の内容によれば、一度相続人間で合意が成立しているようですが、その合意の内容を証明することができるかどうかがひとつのポイントになります。遺産分割協議書などが作成されており、各相続人の押印(特に長男)がなされているような場合には、長男が後から反故にしたいと考えても、改めて相続人間で別の合意が成立しない限りは遺産分割協議書のとおりに進めていくことになります。
仮に遺産分割協議書のような書面が作成されていない場合(口頭で合意したような場合)には、金融機関などで手続をする際に、改めて合意内容に基づいた書面の作成を求められますので、長男が考えを変えて非協力的になってしまっている現状では、以前の合意に基づいた手続は進められないことになります。
葬儀費用などに充てるために遺産の一部のみを払い戻すことは長男の協力がなくとも行える場合がありますが、最終的にすべての遺産分割を行うためには長男の協力が不可欠です。長男が金融機関で「悪口を言いふらして手続が進まないように妨害」するようになったのには、なにか理由があるはずです。長男も相続が完了しなければ自分の相続分を受け取ることができませんので、本当は困っているはずです。長男の本音もよく聞いて、相続人間で改めて話し合ってみることが必要です。
ただ、今回のご相談のケースでは長男が「音信不通」ということですので、当事者間での話し合いは難しいかもしれません。そのような場合には、弁護士等を依頼したり、家庭裁判所で遺産分割調停を行うことを検討することになります。