「有給休暇を取得しようとしたところ、「どうせコンサートにでもいくのだろう。そんな理由ではだめだ。」と拒否されてしまいました。やはり冠婚葬祭などの理由でないと有給休暇はとれないのでしょうか。」
ご回答
年次有給休暇は、年間のうち一定期間、賃金等を保障しつつ、労働者を労働義務から解放し、休息や娯楽や能力開発などのための機会を与えるもので、労働基準法に規定されています。
雇い入れの日から起算して6箇月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば、10労働日の有給休暇が与えられます。
この年次有給休暇は、労働者が日時を指定して年休を請求すれば原則として成立するもので、使用者の「承認」は必要ありません。ただし、使用者には時季変更権が認められており、「事業の正常な運営を妨げる場合」には他の時季に振り替えて与えることができます。その場合でもできるだけ労働者が指定した時季に休暇がとれるよう、配慮をしなければなりません。今回のように、代替日も提案せずに年休を取得させないという対応は違法ということになります。
年次有給休暇をどのように利用するかについては労働者の自由に任されており、そもそも理由を使用者に述べる必要はありません。ただ、同じ時季に年休申請が殺到した場合に、どの労働者を優先させるかを判断するにあたって理由を参照することはやむを得ないと解されます。このような事情もないのに、有給の使い道を理由に年休を拒否していることについても、違法といえるでしょう。
残念ながら、使用者の中には年次有給休暇について十分理解されていない方もおります。休暇をめぐる問題でお困りの際は、専門家である弁護士にご相談ください。