ある雪の日の朝、A社のトラックが対向車線からはみ出してきた軽自動車と衝突しました。幸いお互いに怪我はなかったのですが、A社のトラックは側面部分が大きく破損してしまいました。軽自動車を運転していた男性は任意保険に入っておらず、A社は直接男性と交渉していましたが、話がまとまらず当事務所にご相談にいらっしゃいました。
今回の事件では、過失割合は対向車線をはみ出してきた軽自動車が100%、トラックが0%ということで特に争いはありませんでした。一方、損害額について修理費用・応急処置費用(レッカー代など)・休車損などが争われていました。休車損とは、会社の車が事故によって使用できなくなったことにより発生する損害のことで、今回はこの休車損の賠償が大きく当事者間で争われていました。
休車損の考え方をもとに当該トラックが稼働していれば得られたはずの利益を算定し、そこから経費を控除して1日の利益を算出し、その内容を男性に説明しました。男性側が真摯に対応していただいたこともあり、修理費用・応急処置費用・休車損費用のほぼ全額をお支払いいただくことができました。
交通事故は今回の休車損等をはじめ様々な法的問題が内在しています。最近では弁護士費用特約といって、弁護士費用を保険で支払う制度が広まっています。弁護士費用特約は任意保険に付加するもので、保険料は少し高くなりますが、事故にあった場合の弁護士費用はすべて(上限はありますが)保険会社から支払われ、利用したからといって保険金が高くなることもありません(今回のA社も弁護士費用特約を利用されました)。交通事故は誰でも遭遇しうる問題ですので、任意保険に加入することはもちろんのこと、弁護士費用特約を付加しておくことをお薦めします。