妻とは数年前に離婚しましたが、そのときには親権者は妻にしました。しかし、本当に子どもが妻のもとで元気に育っているのか心配です。今から親権者を父親である私に変更することはできないのでしょうか。
ご回答
未成年の子については父母が離婚する際に、一方が親権者に指定されていますが、このように一旦指定された親権者であっても、その後の事情の変化により他方の親が親権者となる方が適当な場合があります。そのため、民法は「子の利益のため必要がある」場合には、親権者の変更が出来ることを定めています。
では、具体的にどのような場合に「子の利益のため必要がある」とされるのでしょうか。この判断をするにあたっては、既に親権者と指定されていた方(今回のご相談では母親)による監護の実績があるため、父母双方の事情を比べるのみならず、監護していた親の実績を踏まえて現状を変更すべきかどうかという視点から判断されることになります。親権者を変更することは、子どもを取り巻く環境を大きく変えることになりますので、子どもにも大きなストレスがかかります。そのようなストレスを考慮しても、親権者を変更した方が子どものためによい、と判断される事情がなければなりません。その際には、親の監護体制(健康面、経済面、環境面など)、子に対する愛情、子の年齢・心身の状況、子の置かれている環境の継続性、子の意思などを総合的に考慮して判断されることになります。
この親権者の変更は、当事者間の協議によることは許されず、必ず家庭裁判所の審判による必要があります。もっとも、当事者間の合意を前提とした調停による変更は可能です。いずれにせよ、家庭裁判所を関与させた手続になりますので、弁護士等にご相談されることをお勧めします。