家賃の値上げについては、大家さんの一存で決めることはできません。当事者間で話し合いによって決めるのが原則です。この話し合いによって家賃増額が決まるまでは、これまでと同じ（今回であれば月４万円）家賃を支払っていればよいことになります。大家さんが「５万円でなければ受け取らない」と言って家賃の受け取りを拒否するような場合には、法務局に供託することで家賃未払となることを避けられます。新家賃について協議がまとまらないときには、大家さんの方が家賃の増額を求めて簡易裁判所に調停の申立をすることになります。それでも決着がつかない場合には、裁判所に対して家賃の増額請求訴訟を提起することになります。
　訴訟になった場合、適正な家賃を定めるにあたっては、近隣の相場はもちろんのこと、不動産にかかる固定資産税などの税金が変化したかどうかなど、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
　最終的に家賃が増額された場合に、不足分については支払わなければなりませんし、裁判で家賃の増額が決まった場合にはその増額分に年１割の利息をつけて支払わなければなりません。
　また、今回のご相談のケースとは逆に、家賃を減額して欲しい場合（たとえば月４万円の家賃を月３万５０００円にしてほしい場合）には、大家さんにその旨をお伝えし（できれば内容証明郵便などで）、話し合いをすることになります。話し合いで決まらなければ、調停、訴訟に移行することはさきほどと同様です。新しい家賃が決まるまではこれまでの家賃（月４万円）を支払い続けなければなりません。
　賃料増減に関する話し合いがまとまらず、裁判所を利用する場合には、適正な賃料を証明するために様々な証拠が必要になりますので、弁護士などに相談されることをお勧めします。