夫と離婚することになりました。まだ夫の定年までには間がありますが,老後のことを考えると,将来の退職金や年金についても分与を求めたいと思います。この要求は認められるでしょうか。
ご回答
将来の退職金については,近いうちに退職して退職金を受けることが確実でない限り,これまで離婚時の財産分与の対象とされてきませんでした。
しかし,最近では,裁判実務の上でも,退職までかなり間がある場合でも,将来受け取るべき退職金について,実際に退職して退職金を受け取った時点で財産分与すべきとする裁判例が出てきています。ですから,あきらめる必要はありません。ただ,実際に分与を受けることができるのは,実際に退職した後のことであり,不確実です。退職金のほかに夫に財産があるのであれば,それらを総合的に判断する必要があるでしょう。また,年金分割については,近年,法改正により,離婚時に分割が認められるようになりました。
ただ,年金受給権そのものを分割するのではなく,婚姻期間中の標準報酬総額を分割する(報酬総額の多い方から少ない方に分ける)ことによって,将来妻が受け取るべき年金額が増えるということになります。分割割合については,2分の1の割合(つまり,標準報酬額が夫婦間で同等になるように分割する)のが通常です。
財産分与や年金分割についても,夫婦間の協議で決められない場合には,家事調停を申し立てることができます。